日もとっぷりと暮れた7時半。7、8人の宿泊者たちと一緒に「コールドリバー・ゲストハウス」を後にした。
今夜は大きいお祭りがあるというので、みんなして見物に行こうというのだ。
ゲストハウスの看板娘、ニニちゃんに案内されて、シーサワンウォン通りを目指す。
プーシーの丘を迂回するように大きく弧を描く真っ暗な夜道を、ぞろぞろ歩いていく。カーン川を渡れば、目抜き通りまであとわずか。その直前の坂道を途中まで上ったところで、みないっせいに声にならない驚きの声を上げた。
この時間にはすでにひっそりと静まりかえっているはずのシーサワンウォン通りが、きらびやかな光と華やかな歓声であふれている。その光と音の渦の中を、人の波が途切れなく流れている。
急いで通りに出てみる。人の列が、あっちからこっちまでどこまでも続いている。その人の波間を、ほのかな炎に照らされた巨大な船や竜が見え隠れしながら漂っている。沿道にも数え切れない人、人。お祭りとは聞いていたけど、まさかこんなにも盛大なものだとは。
ゆらめく光。包み込むざわめき。
爆竹がそこかしこでパン、パンと鳴り響く。
湧き上がる歓声。
ゆるゆるとした空気が漂っていたルアンパバーン。そこで暮らす穏やかな人々。そんな町と人が、いまは熱気と興奮のただ中にある。まるでこの時が来るのを待ちかねていたかのように。最初はあっけにとられてこの様を眺めていたぼくたちだったが、熱気と喧噪にあおられて、気がつけば、人波のうねりに身を任せていた。
一人の陽気な男がよろよろと近づいてくる。左手に透明な液体が入ったビンを抱え、右手にコップを持っている。ラオ・ラーオだろう。ラオスの米焼酎である。すでにヘロヘロに酔っぱらっている様子からして、もしかしたらアルコール度数の高い自家製なのかもしれない。ぼくたちが日本人だと気がつくと、コップを差し出し、飲めという。
「ラオ・ラーオ!」、「ラオ・ラーオ!」
さっそく通りの真ん中で一気飲み大会が始まる。
急激に回った酔いのせいだろうか、爆竹の音はますます高く強く鳴り響き、熱気もいよいよ激しさを増していくように思われた。そんな音と光と酔いの渦に巻き込んで、人の波は、ぼくたちと巨大な船を、どこかひとつの場所へといざなっていく。
2007年2月26日
>soraさん
日本とは違ってまだ仏教が生活の中に根を下ろしている国なので、
お祭りも儀礼色が強いのでしょう。もっとも、現地の若者は
ただ爆竹をやたらと鳴らしながらはしゃいでいるだけでしたが。
いい娯楽でもあるんでしょうね。
>kitkatさん
ラオスに行ったのは、昨年10月の上旬です。
オークパンサーは年によって開催日が違うのですが、
昨年はこの時期にあるとは知らずに訪れたので、もうびっくり。
そのぶん感動も大きかったです。
2007年2月26日
>とんびさん
このお祭り、灯籠流しなのでロイカトーンかなと思っていたのですが。
帰国後、オークパンサーであることを初めて知りました。
偶然ですがこの目で見ることができてラッキーでした。
メコン川では有名なボートレースも催されたりして、かなり大がかりでしたよ。
>ヒョウちゃん
そうですね。でもまだとっておき写真は残してありますので。
雨安居明けといいつつ、この夜は雨が降っていたのですが(笑
満月を基準に日取りが決まるので、昨年は少し時期が早すぎたんでしょうね。
ラオ・ラーオは・・・実際に飲んでみてください、嗚呼。
2007年2月26日
お祭りラッキーでしたね。いつ頃行ったんでしたっけ?
ルアンパバーンは、思ってたより都会な感じがしました。
2007年2月25日
日本の一部では、こういった儀礼的「祭り」が残ってますよね。少なくなってきると思いますが。
この前読んだ本には「伝統的な儀礼は宗教の具現と個人と社会の幸福を祈ることが目的であり、社会と種の生存、保存に結びつく。」とありました。
日本の祭りは「パフォーマンス化」しているように感じますが、アジアの祭りは儀礼色が濃く感じますね。
2007年2月25日
いやあ、ちら見せじゃありませんね(笑)。
しかも、続編があるようだし。
それにしても、ルアンパバーンのどこに、こんなにも人が住んでいたのだろうという感じです。やはり、雨安吾明けは嬉しいものなんですね。
ラオ・ラーオやはり強いですか?
2007年2月25日
滞在中に大きなお祭りに遭遇できてよかったですね。
なかなかこういう機会ってめぐりあえないし、ラッキーでした。
オークパンサー、タイの旅行記だったかと思いますが、これとよく似た様子が書いてあるのを見たことがあります。
ラオスでもあるんですね。