古都ブルサにて: ジュマルクズクへ

ずっと前の記事にも書いたのだけど、今回のトルコ旅では「路地歩き」をメインテーマにしようと思った。そのテーマに沿って、2週間あまりという限られた日数でトルコをどのように巡り、何を見るか。迷いに迷った末、最終的には、イスタンブール→サフランボル→ブルサ→セルチュク(エフェス)→クシャダス→イスタンブールというルートで旅をしたのだが、一番迷ったのが、サフランボルの次の行き先だった。サフランボルからアンカラまで南下し、バスを乗りついで有名なカッパドキアへ、というのが一般的なルートらしいのだが、それだと大回りになりすぎてしまい、中部のカッパドキアから西海岸地方のセルチュクまでの移動に時間がかかる。見所の多いカッパドキアの滞在期間も中途半端になり、心残りを覚えそうだ。また、カッパドキアは「路地歩き」という今回の旅のテーマからやや外れてしまう気がする。ではどうしようか。地図とにらめっこしていたら、サフランボルとセルチュクを結ぶルートのほぼ中間に位置するブルサという町に目がとまった。

古都ブルサ。その昔、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルが陥落する前、建国期のオスマン帝国の都が置かれていたという歴史ある町。しかし正直に告白すると、それまで名前すら知らなかった町であった。興味を持って調べていくうちに、そうした歴史はさておき、この町を訪れる目的らしきものが3つ見つかり、カッパドキアではなくブルサに立ち寄ってからセルチュクへというルートに気持ちが傾いていった。

3つの目的。そのひとつは、実はブルサそのものではなく、その郊外の山麓にあるジュマルクズクという村を訪ねることだった。昔ながらの民家が軒を並べる小さい村だという。路地歩きという旅のテーマに沿って、イスタンブールではアジア側のクズグンジュックという落ち着いた地区を、そしてサフランボルの旧市街を、さらにエフェスでは遺跡はもちろんだが郊外にあるシリンジェという小さい村を気ままに歩いてみたいと考えていた。それにこのジュマルクズクを加えれば、なかなか充実した旅になりそうだ。

と前置きはこの辺にして、実際に訪れたときの写真を掲載。

 

 

 

 

村自体は本当に小さいので、一時間もあればひととおり散策できてしまうだろう。でも「ひととおり」ではもったいない。ジュマルクズクのような村を訪れる醍醐味は穏やかに流れる空気を味わうことにこそあるのだから、時間の許す限り、そこにある空気と対話しながら散策を楽しみたいもの。

村の入口にはお土産屋さんが軒を連ねている。レストランも何軒かある。
歩きすぎておなかが空いたので、お昼はそのうちの一軒で。ヨーグルトたっぷりのマントゥをいただく。

 

 

 

時期にもよるのだろうけど、ぼくが訪れたときは観光客でにぎわっているということはまったくなく、トルコ人以外の観光客の姿もほとんど見かけなかった。
落ち着いた雰囲気の中で心地よいひとときを過ごすことができた。

 

サフランボルのネコ

FUJIFILM X-T1 + 35mm/F1.4

イスタンブールに負けず劣らず、サフランボルの路地を歩いてもネコをそこかしこに見かけ、
もちろんたくさん撮らせてもらった。

冒頭の写真のネコは、旧市街の中心にある広場から少し外れた、急な階段を上った高台にいた。
こちらのエリアに行く人は少ないかもしれない。ぼくがここを何度も通ったのは、すぐ近くに
サフランボルでの宿泊先となったゲストハウス「Efe」があったから。
このゲストハウスの女主人は日本語ペラペラで、何でもてきぱきと処理してくれる。とても親切で頼りになる。
おすすめしたい宿だ。

路地を観察しているだけでは十分ではない。視線を感じて見上げると、興味ありげに、もしくは警戒心を露わに様子を伺ったりしているので油断できない。

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