今週は時間に余裕があったので、いくつかの写真展に足を運んできた。
●「世界報道写真展2005」
世界中のフォトジャーナリストを対象にした「世界報道写真コンテスト」への応募作品から、約200点を選んで展示したもの。
今年の大賞は、「スマトラ沖地震による津波で親族を亡くし嘆き悲しむ女性」。
この写真を初めて目にしたのは、たしか数ヶ月前の朝日新聞の一面でだったと思う。見た瞬間、「生理的に受け入れがたい」と思ったのを覚えているが、その感覚は、生で見たときも変わらなかった。両手を投げ出して悲嘆にくれている女性を見下ろすような突き放した撮り方にも、鮮やかなサリーをまとったその姿に一種の絵画的な「美」が見られることにも、あるいは、悲しみにくれているその女性に美を見いだしてしまう自分自身にも、許せない、嫌悪感のようなものを覚えてしまうからだ。このような撮り方は、決してしてはいけない。いけないなんていう言葉を安易に使ってはそれこそいけないのだけど、ぼくはこういう撮り方を肯定しない。たとえ報道写真だとしても、否、報道写真だからこそ。
その他の展示作品そのものの感想は置いておいて、ひとつよかった点は、キャプションが同量の英語と日本語で記載されていることだ。職業柄、どう訳されているか気になって、英語と日本語の解説を読み比べていったのだけど、とても素晴らしい訳だった。きっと優秀な翻訳者が訳したのだろう。プロの仕事だ。うーん、こんなところに勉強の材料があったとは。
会場:東京都写真美術館
会期:2005年7月31日(日)まで
ちなみに、明日からは世界文化遺産写真展「アンコールと生きる」が開催される。
アンコール遺跡群マニアとしては、こちらにも足を運ばねば。
●森山大道写真展「ブエノスアイレス」
2004年~2005年にわたってブエノスアイレスで撮影された作品集。
こちらも作品の感想は置いておくとして、会場で興味をひかれたのは、ブエノスアイレスでの撮影の様子を追いかけたビデオの上映。例のごとく、ショルダーバッグひとつで黙々と街を歩き回りながらGRでジージー写している。その姿は、妙に格好よくもあり、怪しげでもありで、しばし見入ってしまった。
2005年7月18日
>suzukoさん
森山氏、普通の怪しげな旅行者でした(笑
ブエノスアイレスってとても危ないイメージが
ありますが、普通に街を徘徊してジージー撮ってましたよ。
行ってみたくなりました。でも遠いよね・・・。
>ハナミズキさん
mixiの日記、読みました。同じような印象を持たれたようですね。
あの写真に対して違和感を抱いたのは、報道写真なのにあまりにも絵画的だからです。
構図もまるで狙ったかのように完璧ですし。
報道写真すべてが画的に美しくあってはならないとは思いませんが、
そのことがぼくやハナミズキさんを含めた観る者の一部に嫌悪感や拒絶感を抱かせ、
ひいては津波の悲惨さを訴える力をも失わせたのであれば、
この写真は大賞には値しないし、報道写真としても失格だと思います。
2005年7月18日
嘆き悲しむ女性の写真を最初に見たとき、似たようなことを感じた者です。行ってみてもやはり。。。
アンコールは市井の人々の写真もあって楽しめました。
2005年7月17日
「ブエノスアイレス」は私も行こうと思ってました。
ブエノスアイレスの町自体も興味ありありだし、撮影してる姿が見られるのも面白いですね。
他の人がどうやって写真撮ってるんだろうって、かなり気になりますから。
私もはたから見ればかなり怪しい人だろうなぁ。