BLOG

サナアの結婚式(1)

今夜はここで結婚式があるよ。
ひょんなことから知り合いになったイエメンの男が、サナア旧市街を案内してくれている最中、ぼくに耳寄りな情報を教えてくれた。今日は木曜日。金曜日が休日であるイエメンでは、その前夜、つまり今夜から各所で結婚式が盛大に催される。サナアの旧市街では、路地裏の広場がパーティーの会場となり、旅行者も見学できるというのだ。その夜、新市街で夕食をすませると、旧市街にあるその場所に行ってみることにした。

教えられた広場へと向かう途中、どこか違う方向から、歌声と演奏が漏れ響いてくる。別の場所でも結婚式が行われているようだ。その音に惹かれ、その音を伝うように、薄暗い路地を何度か折れてみる。

突然、目の前に光の群れが出現した。

頭上にはコードが張り巡らされ、いくつもの裸電球がつり下げられている。
真下の広場と周囲の建物をやさしく照らし出し、ロマンティックな雰囲気で満たしている。
どうやらここが会場らしい。

入ろうとすると、少年がシャーイ(ミルクティー)をふるまってくれる。
ありがたく受け取って、路地の奥へ。

Ttb_070616d

大勢の観衆に囲まれて、すでに男たちが祝いの踊りを披露している。

かたわらでは、楽師が高らかに歌い上げ、演奏する。スピーカーから、その声と旋律が響き渡る。高い建物に囲まれた広場は、格好のホールにもなる。
迷惑だ、なんて文句を言う近所の住人なんていないのだろう。

Ttb_070616a

イエメンでは、花嫁と花婿を別々に祝う。いま催されているのは、花婿の結婚パーティー。
花嫁のパーティーは、おそらく花嫁の実家で女性だけで催されているに違いない。みんな派手派手な衣装で踊りまくるそうなのだけど、残念ながら男はそれを見ることができない。けれども、遠くから踊りを眺めていた女の子たちの姿から、なんとなく想像はできそうだ。

Ttb_070616b

踊りの合間に、記念撮影。
花婿が、親戚や近所の人から祝福を受ける。その様子を遠くから撮っていると、隣のおじさんが、もっと近くで撮れ、と気をつかってくれ、輪の中に通してくれた。

Ttb_070616c
写真右側、剣を持っているのが花婿さん

サナアのおじさん

Ttb_070605a

イエメンの青年は童顔が多い、と過去の記事で書いた。そんな彼らも、おじさんへと成長を遂げたとたん、ガラリと一変する。ひとことで言うなら、濃くなるのだ。貫禄も濃くなれば、顔つきも濃くなるし、ひげも濃くなる。なにせモカコーヒーの原産地の民族である。緑茶族の日本人とは煮出したときの濃さが違う。渋さでは日本人の方が上だと思うけど。

その濃さをさらに引き立てているのが、白いワンピース。イエメン男性の多くがこのスタイルで街を闊歩している。写真の右側の男性のように、白服+頭布を巻くのが一般的。もちろんお腹には部族の誇りであるジャンビーアを差す。左の男性は頭布を肩に羽織っているが、これはお洒落なスタイルとか。

また、白服の上に背広を着ているおじさんも多い。和洋折衷という言葉があるが、イエメンと西洋の折衷はなんと言ったらいいのだろう。とにかく珍妙な組み合わせで、濃さをいよいよ引き立てる結果となる。ちなみに、背広は袖口のタグを取らないままにしておくのがお洒落なようだ。昔の中国もそうだったらしいけど。

なにもかもが濃くなった結果、いかめしく見えるおじさんたちだけど、それは外見だけのこと。じつはやさしい人たちだ。はにかみやさんや、おちゃめさんも多い。そして子どもたち同様、たいていのおじさんが撮られ好きである。そのギャップが、見ていてじつに面白く、微笑ましくもある。また、親切心や義侠心もとても濃いから、いざというときは頼りになる。旅行中、迷ったときや困ったときに何度となく周りのおじさんたちに助けてもらった。愛すべきはおじさんたちである。

Ttb_070605c

先頭に戻る
コピーはできません。