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ポルトガル:岩山の白い村

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RICOH GR21, KODAK BW400CN

 

モンサラーシュという村の名を初めて耳にしたのは、雑誌『旅行人』のとある記事を読んだときだった。季刊化第一号(2004年夏号)の特集「家と街を見に行く旅」がそれだ。その特集の座談会の中で、建築家の泉幸甫氏が、建築的に面白い家や街はどこか、という質問を受けて、「僕が一番印象に残ったのはポルトガルのモンサラッシュです」と答えている。

「このモンサラッシュも丘の上にあって、真っ白く塗られていますが、他の山上都市と違うのはごつごつした岩盤の上に建っているんです。……(中略)……永遠に時が流れていく中に人が住んでいるという印象を受けましたね。あの風景を思い出すと、東京のゴチャゴチャしているなかで住んでいるのとは、まったく違う人生があるんだなと感じます。」

(中略)

「モンサラッシュは交通が不便ですよね」
「非常に不便ですねぇ」

交通が不便かとたずねているのは前川健一氏。その前川氏も、「やっぱりポルトガルは面白かった」と言っている。その理由がまたふるっているのだけど、これは書かないでおく。

モンサラーシュのほかにも、この特集の中では、ポルトガルのモンサントという村の「岩の家」が世界のユニークな家として紹介されている。じつはこのモンサントも訪れてみたかった村のひとつだった。けれでも、モンサラーシュと同じようにこの村もアクセスがひどく不便であり、日数不足で泣く泣く断念した。次にポルトガルを訪れる機会があったら、ぜひモンサントにも立ち寄ってみたいと思っている。

【ポルトガル】レゲンゴスのワイン

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アレンテージョの平原の彼方に夕陽が沈んでいく。
やがて、沈黙の音色が……。

ポルトガルを旅している間、一冊の本を読んでいた。アントニオ・タブッキの『レクイエム』である。真夏のリスボンを彷徨う旅人の1日を描いた物語。ポルトガルが生んだ詩人、フェルナンド・ペソアへの文字通り鎮魂曲でもある。この本をしのばせてきたのは、同じタブッキの作品『インド夜想曲』と同様、「彷徨い感」をおおいに刺激してくれるのではと期待したから、さらには、リスボンの描写が詳しいことから、ガイドブック代わりにも使えるのではと考えたからだ。

念願のモンサラーシュにたどり着き、時間と心に余裕ができたこの日、『レクイエム』のページをめくってみた。読んでいくうちに驚いたのは、猛暑のリスボンが舞台であるにもかかわらず、アレンテージョ地方の話がしばしば、というより異常なくらい多く登場することだ。

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