BLOG

マレー半島を北上せよ(6) 海南鶏飯

knsg_081013a2.jpg
PENTAX MZ-3, FA50mm/1.4, RVP-F

(前回のセピア調からガラリと変わります)

マラッカの旧市街は、さまざまな色で満ちている。
中華、キリスト教、イスラム、ヒンズー。文化と宗教の混在が、そのまま家並みの壁や飾りに表れている。

knsg_081013b.jpg

白壁に青いドアの家も。
漢字さえなければ、モロッコのエッサウィラやシャウエンなど、ポルトガルとスペインの
面影を残す白い街とそっくり。
そういえば、マカオでも同じような白壁に青枠の建物を目にした。
それもこれも、ポルトガルの残滓なのだろうか。

knsg_081013c.jpg

くたびれたので、ひと休みがてら、なにか食べることに。
といっても、食べたいものはとっくに決まっている。
近くの食堂に入って、目的の料理を注文。
しばらく待つと、目の前に出される。
海南鶏飯。これを食べたかった。
もちろん海南鶏飯ならマレーシアのどこでも食べることができるが、マラッカの海南鶏飯は、
ご飯がゴルフボール大の球状になっているのが特徴。

knsg_081013d.jpg

旨い、安い。もうひと皿。

マレー半島を北上せよ(5) マラッカ旧市街へ

knsg_081011a.jpg

セントポール教会がたたずむ小丘を下りきると、オランダ広場に出た。
マラッカのシンボルともいうべき赤いキリスト教会とスタダイスが目に飛び込んでくる。
その前を横切ると、マラッカ川の静かな流れ。その向こうに広がるのが、旧市街だ。

マラッカの旧市街は、今回の旅で最も散策を楽しみにしていた場所だった。とはいっても、過度な期待は抱いてはいなかった。素朴な街並みの一画にでも迷い込み、懐かしい雰囲気の一片でも味わえれば訪れた甲斐があるだろう。そんな気持ちで、橋を渡る。

knsg_081011b.jpg

古き良き文化や生活が連綿と息づく街……。
それは今や、世界のどこを訪れても幻想の中にしか存在しないものなのかもしれない。おとぎ話の街ともたとえられるイエメンのサナアでさえ、現代文明がどんどん入り込んでいるのを目の当たりにした。

そこに暮らす側だけではなく、そこを訪れる側も変わりつつある。ネットとケータイとデジカメ、この3つが、旅行者のスタイルと意識を大きく変えている。日本でいつも使っている携帯が、サナアの安宿からでも使える時代なのだ。そんなもの必要ない、と拒否できない自分。より便利に、より手軽に、よりクリアに、より近くに、より早く。

旅とは現実と向かい合うもの、同時に、蜃気楼を追いかけるようなもの。遠くに見えるあのオアシスから水をひとすくいでもいいから飲み干してみたい。そんな想いから、憧れの彼の地を訪れる。徒労に終わることも多いが、本当の泉にたどりつくことだってある。だからこそ旅が止められないのだろう。が、0と1に支配され、あらゆるものが明快にされ、接近し、いともたやすくつながってしまう世界からは、数少ないオアシスも干上がり、はかない蜃気楼までもが霧散してしまうのではないか。そのときが来ても、旅をあきらめないでいられるのだろうか。それはわからない。今はこの目の前に広がる街から、何かと出会い、感じ取り、心に焼き付けていくしかない。

knsg_081011c.jpg
RICOH GR21(3枚とも)

先頭に戻る
コピーはできません。