人と光と音の波に運ばれて、気がつけば、メコンを見下ろせる場所にたどり着いていた。
灯と花で飾られた船が、大勢の人に担がれて、順々に岸辺へと下りていく。
メコンに流すのだ。
この船は巨大な灯籠なのか。灯籠流しのお祭りだったのだ。
船は一艘ずつ、メコンに浮かべられ、放たれていく。
すぐに転覆してしまう船があるのも、ご愛敬。
そのたびに、歓声と悲鳴と笑いが湧き上がる。
そんな熱気も届かない彼方では、ろうそくの火がたゆたいながら、列をなして流れていく。
闇が濃くて川面は見えない。まるであちら側は黄泉の国のようだ。
現世と来世を、漆黒の流れが隔てている。
その闇の川を、大小いくつもの灯籠がゆらめき、運ばれていく。
目の前で、小さな灯籠に火がともされる。
南国の花と葉で飾られている。
そっと、メコンに放たれる。
どのような祈りが運ばれていくのか。どのような願いがこの灯に宿っているのか。
なにもわからないぼくは、ゆらゆらと彼方へと去っていく灯籠を、黙って見送った。
運良くこのような熱気と幻想あふれるお祭りに巡り会えた。
旅の神様への感謝の思いだけを、いっしょに乗せてもらうことにして。
雨期の終わり。そんな微妙な時期にラオスを訪れる機会に恵まれたのは、
偶然ではなかったのだ、と。