映画「バグダッド・カフェ」のニューディレクターズカット版がもうすぐ公開されますね。
好きな映画を5本挙げろ、と聞かれたら、その中の1本に迷わず入れる作品です。
映像、ストーリー、そしてなんといっても、主題歌の「コーリングユー」の叫びは、
初めて観たとき以来、今も心のどこかに静かな共振を呼び起こし続けています。
新版のトレーラーを見ましたが、20年前のオリジナルが全体的に黄色味を帯びた映像
だったのに対し、空の青や夕景の赤がよりビビッドになっているようです。全てのカット
について色と構図を調整しなおしたとのことです。これは、ぼくを含め、オリジナルの
どこか褪せて懐かしい色合いがたまらなく好きな人には賛否両論かもしれませんが、
実際にスクリーンで観てみたないと本当の印象はわからないですね。楽しみです。
アメリカ合衆国を旅の対象として見ることはほとんどなく、彼の国の土を踏んだこともあり
ませんが、こと映画に関する限り、アメリカの田舎を舞台とした作品に惹かれ、旅心を
そそられるのは、なぜなのでしょう。「バグダッド・カフェ」はもちろん、「パリ、テキサス」、
「テルマ&ルイーズ」、「ストレイトストーリー」、「ギルバート・グレイプ」などなど……。
そういえば、音楽もカントリーっぽいのやサザンロック系がけっこう好きだし、写真も、
スティーブン・ショアやウィリアム・エグルストンらの、アメリカの何気ない光景を切り取った、
いわゆる「ニューカラー」系の作品に旅心をそそられます。
認めたくはありませんが、もしかしたら、「ルート66を走り抜ける」というようなベタベタな旅を
してみたら、意外とはまってしまう単純な人間なのかもしれません。