夜のシュエダゴンパゴダ

knsg_20151121a.jpg
Shwedagon Pagoda, Yangon / RICOH GR           

14年ぶりのミャンマーへの旅。今回のフライトはANAのヤンゴン便を利用した。11時過ぎに成田を発って、現地時間の16時過ぎにはヤンゴン着。直行便だからとっても楽だ。料金も手頃だし、バンコクなど他国に立ち寄るつもりがない人にはおすすめだ。

久しぶりに降り立ったヤンゴン国際空港がえらく近代化されていて目を丸くする。入国審査を終えると、両替所でドルをチャットに両替。脇にはATMまである。試しに利用してみたところ、VISA系カードでちゃんとチャットを引き出せた。便利になったものだ。思えば、14年前は強制両替という悪名高い制度があって、旅行者は200米ドルを同額面のFEC(外貨兌換券)に換えなければならなかった。FECはミャンマー国内でしか使えず、余ったからといってドルに再両替することもできなかった。できれば逃れたいという旅行者の心理につけこんだ窓口の係員から「私に5ドルくれればFECへの両替は少なめにしてあげる」などと賄賂を要求されたっけ。そんな怪しい雰囲気など、立派になった今の空港からはみじんも感じることがなかった。

タクシーでヤンゴン中心部の宿へ。荷物を置くと、すでに日が暮れかけていた。タクシーを拾ってシュエダゴンパゴダへ向かうことにした。なにはともあれ、ここに行かなくては。

knsg_20151121b.jpg

knsg_20151121c.jpg

knsg_20151121e.jpg
Fujifilm X-T1 + XF35mm

夜のシュエダゴンを訪れるのは初めてだった。参道の階段を上りきると、広大な境内には夜だというのに、あるいは夜だからなのか、予想以上に大勢の参拝者がいた。真剣に祈りを捧げる人たち。ロウソクと線香の灯火。ライトアップされたパゴダ。見上げると、いつの間にか月が昇っていて、パゴダの横で白い光を放っていた。ヤンゴンに降り立ったばかりのぼくには、光と人とパゴダが織りなす幻想的なこの光景が本当に目の前で展開されていることがまだ信じられないでいた。

knsg_20151121d.jpg

14年ぶりのミャンマー

Nantaing, Myanmar
Fujifilm X-T1 + XF35mm

雨期明けのミャンマーを旅してきた。じつに14年ぶりの再訪になる。機会を逸したり、タイミングが合わなかったりで長らく訪れることがかなわないでいたのだけど、結果的には、2015年のこの季節に再訪できて本当によかった、そう思える旅となった。

滞在したのは、ヤンゴン、インレー(ニャウンシュエ)、カロー、バガンの四箇所。初めて訪れるインレーとカローに日数を割き、久しぶりのヤンゴンとバガンでは変わったもの、変わらないものを見てみようというのがざっくりとした予定だった。

最も長く滞在したインレーでは、インレー湖最大のお祭りである「ファウンドーウーパゴダ祭り」の模様と、その最終日に催された有名な足漕ぎボートレースの盛り上がりを楽しんだ。また、満月の日(10月28日)には雨安居明けを祝うお祭り「ダディンジュ」にも出会い、無数のろうそくの灯りが夜のパゴダを満たす幻想的な光景をカメラに収めることができた。

続いてカローで4泊。トレッキングに参加して近郊の少数民族の村々を巡って偶然お祭りに遭遇したり、ローカル列車に乗ったり、五日市のにぎわいを見たりして過ごした。個人的には、一番のんびりでき、そして印象に残った町でもあった。

そしてバガンへ。14年前の光景がまだ脳裏に焼き付いていることや、観光地化が進んでいることなどから再訪にはためらいもあったのだけど、当時お世話になった人に写真を渡すという目的を果たしたかった。その人とはちょっぴり劇的な形で再会することができたし、驚かされる変化の中にあってまったく変わることのないサンライズとサンセットを眺めることもできた。やっぱり来てよかったと素直に思えた。

最後にヤンゴン。ちょうどこのときミャンマーでは総選挙が実施された。そしてアウンサンスーチー率いるNLD優勢のニュースが伝えられ、多くの人々の期待の高まりを感じるなか、帰国の途についた。ミャンマーの歴史の転換点となるかもしれない瞬間にそこに居合わせることができたのはじつに幸運だった。

そんなこんなで、当初の予想を超えてさまざまな出来事に恵まれた今回の旅。この年のこの季節に再訪できてよかったと思うのは、そうした理由から。そんな旅の模様は、例によって少しずつではあるけれどここに投稿していきたい。

先頭に戻る
コピーはできません。