ジラルド広場の夕景

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RICOH GR 21 + KODAK BW400CN

古都エボラの中心に位置するジラルド広場。

昼間、噴水の周囲では初老の男たちが穏やかに談笑し、オープンカフェでは
観光客が思い思いにくつろいでいる。そんな人々の姿も、春浅く薄ら寒い季節
のせいか、日が傾き、白壁が影に浸食されるにつれて少なくなっていき、
広場は寂しげな色を濃くしていく。

このあと、過去記事「エボラの郷土料理」の冒頭に書いたように、夕日を眺めに
公園へと向かった。

【ポルトガル】エボラの郷土料理

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アレンテージョ地方の中心都市であり、ローマ時代から政治、商業、学問の拠点として栄えてきた古都エボラ。城壁に囲まれたその旧市街のへそに当たるジラルド広場から東へと路地を歩いていくと、やがて由緒ある大聖堂や、コリント式の円柱が並び立つディアナ神殿が目に飛び込んでくる。その隣には、市民の憩いの場となっている小さな公園がある。奥へと歩いていく。次第に北側の眺望が開けてくる。公園の先端にたどり着く。眼下には、エボラの白い町並み。その向こうでゆるやかに弧を描く丘陵までも一望できる。西の空では、オレンジ色の太陽がこの日最後の輝きを放って沈み行こうとしている。

アレンテージョ二日目の落日は、この小高い公園の傍らで静かに迎えた。
明日は、いよいよ首都リスボン。ちょうどあの太陽が落ちていく方向を目指す。

エボラで旅装を解いた宿は、旧市街の中心に位置するジラルド広場からやや奥まった路地にあった。夕日を見届けたぼくは、ジラルド広場を横切っていったん宿に戻ると、夕食のために再び外に出た。石畳の路地を広場の方へと歩き出してまもなく、こぢんまりとしたレストランの前を通り過ぎようとしてふと立ち止まった。日中はそれと気づかないほど目立たないたたずまいであったのに、日がとっぷりと暮れた今、ガラス越しにのぞいてみた店内は立錐の余地のないほどの賑わいを見せていた。ほとんどが地元の客だろうか。ほのかな照明の下で語らい、料理を味わっている。飾らない雰囲気が窓を伝わって外にまで漂ってくる。こういうお店の料理は美味しいに違いない。しばしためらっていたが、勇気を出して扉を開けてみた。

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