サナアの結婚式(2)

夜の旧市街で催される結婚式。

男たちがあるときは輪になって、あるときは一列になって、あるときはペアで、あるときは花婿も加わって、ともに祝う。一連の踊りに欠かせないのが、歌と演奏。

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最初の会場(前回の記事を参照)では、キーボードとボーカルという、意外とシンプルで現代的な組み合わせ。ボーカルの二人はまだ少年の面影を色濃く残しているが、こぶしの利いた野太い声は堂に入ったものだ。

この結婚式を見終えたあと、本来行くはずだった結婚式の会場へと移動。下の写真は、その会場での踊りと演奏の風景。

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こちらの式場では、伝統的な楽士たちが演奏していた。
中央にいるのは、ウード奏者。
ウードは日本の琵琶や西洋のリュート、ギターの原型となり、『千夜一夜物語』にも登場する由緒ある楽器。イエメンの結婚式でも生演奏にお目にかかる機会は減ってきているらしい。

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ちなみに、歌手も伴奏者もすべてプロ。お金を払って一晩なり二晩なり雇うそうだ。きっと新郎側の出費もバカにならないはず。けれども、結婚式は単に一族のための行事にとどまらず、地域のお祭りという側面も強いから、あまりケチれないという事情もあるらしい。盛大に催すほど喜ばれるし、見栄も張れるし、体面も保てる。そのためには迫力ある生演奏が不可欠、ということなのかも。

こちらは別の夜に見学した結婚式の演奏風景。迫力満点。
伝統衣装のアラブおじさんと電子キーボードって、とってもミスマッチではある。でもその不可思議な光景が奇妙な迫力をもたらし、奏でられ、夜の広場を満たす独特の旋律が、異空間にいる自分というものを強く意識させてくれる。じつに楽しく、幻想的だ。

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サナアの結婚式(1)

今夜はここで結婚式があるよ。
ひょんなことから知り合いになったイエメンの男が、サナア旧市街を案内してくれている最中、ぼくに耳寄りな情報を教えてくれた。今日は木曜日。金曜日が休日であるイエメンでは、その前夜、つまり今夜から各所で結婚式が盛大に催される。サナアの旧市街では、路地裏の広場がパーティーの会場となり、旅行者も見学できるというのだ。その夜、新市街で夕食をすませると、旧市街にあるその場所に行ってみることにした。

教えられた広場へと向かう途中、どこか違う方向から、歌声と演奏が漏れ響いてくる。別の場所でも結婚式が行われているようだ。その音に惹かれ、その音を伝うように、薄暗い路地を何度か折れてみる。

突然、目の前に光の群れが出現した。

頭上にはコードが張り巡らされ、いくつもの裸電球がつり下げられている。
真下の広場と周囲の建物をやさしく照らし出し、ロマンティックな雰囲気で満たしている。
どうやらここが会場らしい。

入ろうとすると、少年がシャーイ(ミルクティー)をふるまってくれる。
ありがたく受け取って、路地の奥へ。

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大勢の観衆に囲まれて、すでに男たちが祝いの踊りを披露している。

かたわらでは、楽師が高らかに歌い上げ、演奏する。スピーカーから、その声と旋律が響き渡る。高い建物に囲まれた広場は、格好のホールにもなる。
迷惑だ、なんて文句を言う近所の住人なんていないのだろう。

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イエメンでは、花嫁と花婿を別々に祝う。いま催されているのは、花婿の結婚パーティー。
花嫁のパーティーは、おそらく花嫁の実家で女性だけで催されているに違いない。みんな派手派手な衣装で踊りまくるそうなのだけど、残念ながら男はそれを見ることができない。けれども、遠くから踊りを眺めていた女の子たちの姿から、なんとなく想像はできそうだ。

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踊りの合間に、記念撮影。
花婿が、親戚や近所の人から祝福を受ける。その様子を遠くから撮っていると、隣のおじさんが、もっと近くで撮れ、と気をつかってくれ、輪の中に通してくれた。

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写真右側、剣を持っているのが花婿さん

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