大航海の味 ~マカオで食べたもの ~

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先週、仕事帰りに京王線に乗ったら、車内広告がマカオ一色になっていた。
マカオ観光局のキャンペーン広告らしい。
山手線にもこの頃「週末香港」を誘うモニター広告が流れているので、それとの絡みなのだろうか。

香港の広告にはさほど興味を覚えなかったが、マカオの車内ジャック広告にはぐぐっと惹きつけられ、面白いと思った。ポルトガル料理に焦点を当てていたからだ。
目の前の中吊りには、次のような文句が踊っていた。

「マカオの味は、大航海の味がする」

周囲の広告には、マカオで味わえるポルトガル料理の写真がずらり。
バカリャウ(鱈)、サルディーニャス(鰯)などなど。
ちょっと前にこのブログで「マカオ、エッサウィラ、リスボンからつながるもの」という記事を書いたぼくとしては、うーむ、そうきたかー、やるねーという感じだった。ぼくがポルトガルを訪れたのも、マカオでポルトガルの味と空気に触れたのがきっかけだったからだ。

マカオでそのとき食べたものについては、旧ブログで「マカオ旅レポ」と題して連載した。好評だったのが、このブログに引っ越したときに思うところあってすべて削除してしまった。今回、この観光広告に促される形で、マカオで食べたものの一部をまとめてアップしてみようかという気になった。

マカオのタイパ島には、何軒もの手頃な料理店が立ち並ぶ官也街(食街)というエリアがある。その中の一軒、ガロに入ってみた。小さくて居心地のよいポルトガル料理店だ(冒頭の写真がその外観)。
ここでは軽めにアサリのワイン蒸しを注文。その前にいろいろつまみ食いしてたので(笑

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夕食は、中国寺院の媽閣廟からほど近いポルトガル料理店「ロルシャ」で。
シーフードリゾット。これまたボリューム満点。本来2~3人前なのだけど、一人で全部食べきった。
満足。嗚呼。

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しかしデザートは別腹ということで、その後セナド広場の「義順牛奶公司」で食べたのが、名物の牛乳プリン。
その名の通り、「牛乳をそのままプリンにしました!」という感じで、まことに牧歌的なお味。

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翌年の訪問時には、同じく官也街のポルトガル料理店「三度士葡式晩餐廳(O SANTOS)」に入った。このレストランを知ったきっかけは、当時、朝日新聞の朝刊に連載されていた「アジアの街角」というコラム。その中でこの官也街も取り上げられ、本場風味のポルトガル料理が食べられる店としてこのレストランが紹介されていたのだった。

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注文したのは、ポルトガル名物いわしのグリルと、エビのボイル。

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いわしが4匹も出てきたのにはびっくり。またまたおなかいっぱい。
と言いつつ、次のターゲット、同じくポルトガル名物のエッグタルトを目指すのであった。

タイパ島の官也街を歩き回ったのち、ローカルバスを捕まえて、コロアネ島へと向かう。
島の中心とおぼしき村落でバスを降りる。タイパ島よりいっそう穏やかで、ブラブラ歩きにはうってつけの雰囲気。
が、散策の前に、ここでも腹ごしらえ。

目的の店は、あっさりと見つかった。ひなびた集落にあって、行列ができている店といえば、あの店しかない。店の名は「Lord Stow’s Bakery」。エッグタルトの老舗である。
さっそく列に並ぶ。地元の人だけではなく、本島から買いに来た人も多そうだ。
奥から運ばれてきたトレーに並ぶ焼きたてのエッグタルトが、5個、10個単位で飛ぶように売れていく。昼食をとったばかりなので、控えめに2個だけ買った。

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さっそく食いつく。焼きたての生地はアツアツ、パリパリ。
外はサクサク、中はフワフワ。適度に抑えられた甘さもよい感じ。
あっというまに2個食べてしまった。あと2個は余裕でいけたかも……。
ヨーロッパにはしばらく行けそうにないので、またマカオで大航海気分を味わうのもいいかもしれない。
週末マカオか。食欲の秋だし……。

【関連記事】
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マレー半島を北上せよ(4) マカオ、エッサウィラ、リスボンからつながるもの

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【ポルトガル】エボラの郷土料理

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アレンテージョ地方の中心都市であり、ローマ時代から政治、商業、学問の拠点として栄えてきた古都エボラ。城壁に囲まれたその旧市街のへそに当たるジラルド広場から東へと路地を歩いていくと、やがて由緒ある大聖堂や、コリント式の円柱が並び立つディアナ神殿が目に飛び込んでくる。その隣には、市民の憩いの場となっている小さな公園がある。奥へと歩いていく。次第に北側の眺望が開けてくる。公園の先端にたどり着く。眼下には、エボラの白い町並み。その向こうでゆるやかに弧を描く丘陵までも一望できる。西の空では、オレンジ色の太陽がこの日最後の輝きを放って沈み行こうとしている。

アレンテージョ二日目の落日は、この小高い公園の傍らで静かに迎えた。
明日は、いよいよ首都リスボン。ちょうどあの太陽が落ちていく方向を目指す。

エボラで旅装を解いた宿は、旧市街の中心に位置するジラルド広場からやや奥まった路地にあった。夕日を見届けたぼくは、ジラルド広場を横切っていったん宿に戻ると、夕食のために再び外に出た。石畳の路地を広場の方へと歩き出してまもなく、こぢんまりとしたレストランの前を通り過ぎようとしてふと立ち止まった。日中はそれと気づかないほど目立たないたたずまいであったのに、日がとっぷりと暮れた今、ガラス越しにのぞいてみた店内は立錐の余地のないほどの賑わいを見せていた。ほとんどが地元の客だろうか。ほのかな照明の下で語らい、料理を味わっている。飾らない雰囲気が窓を伝わって外にまで漂ってくる。こういうお店の料理は美味しいに違いない。しばしためらっていたが、勇気を出して扉を開けてみた。

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