モンサラーシュ。アレンテージョの丘の上にたたずむ懐かしき村。ポルトガルで最も美しいと称えられる白い家並み。朝と夕には「沈黙の音」がするという静寂の集落。
午後1時。アレンテージョの中心都市エボラのバスターミナルで、モンサラーシュに向かうバスに乗り換えた。1日に2本しかない超ローカルバス。その1本にスムーズに乗り継げたのは、やはり幸運といえるだろう。
途中、レゲンゴス・デ・モンサラーシュという町でバスを乗り換え、さらに揺られることおよそ30分。車窓の彼方に、小高い丘が見えてきた。その頂上には、城郭らしき黒茶の建物。モンサラーシュに違いない。
バスはその丘を荒々しく上りきると、城壁のふもとで停車した。
丘からの眺めは期待をはるかに超えて素晴らしい。3月の終わり、春まだ浅いアレンテージョ。その大地は、しかし肥沃で鮮やかだ。緑の平原が見渡す限り続いている。その中を川が蛇行しながらいずこかへ流れていく。
しばらく眺望を楽しんだのち、さて、村に入るかと歩き出そうとすると、すぐ後ろに、何やら気配を感じた。振り返ってみると、一匹の犬が静かに寄り添っている。この村の犬だろうか。柔和な表情のなかに好奇心は感じ取れるものの、危険はまったく感じられない。
城壁の門へと続く坂道を上り始めると、犬も静かに後を追ってくる。異邦人がめずらしいのか、遠路はるばるようこそと出迎えてくれたのか、はたまた、この穏やかで美しい村に入る資格があるかどうかを何気なくチェックしているのか。しばらくすると、今度はぼくを追い越して、まるで先導するように門へとトコトコ進んでいく。どうやら、入村資格を満たしていると判定してくれたようだ。
人なつっこい犬の思わぬ歓迎と案内をうけ、思い焦がれていた村への門をくぐる。
2007年3月31日
ポルトガルは回るのにそう日数がかからないように思っていましたが、こういうところも行くとなるとかなり日数がいるような気がしてきました。ポルトガル行けば、エボラは行きたいと思っていましたが、エボラまで行けば、こういう田舎にも足をのばしたい。
ポルトガル、行ってみたいです。行ける国は1箇所なのに、行きたい国はたくさんある。あぁ、困った、、
2007年3月31日
>とんびさん
アレンテージョ地方の中心地エボラの周辺には魅力的な村が
散在していて、モンサラーシュもそのひとつです。
ただどの村もアクセスが不便で・・・だからこそ昔ながらの
光景が残されているし、訪ね甲斐もあると言えます。
訪問したのはちょうど今の時期、3月の末です。
まだとても静かな時期でした。
2007年3月31日
バスが1日に2本ですか。こりゃ、行きにくい。それに、とても静かで時間だけがたんたんと過ぎているような感じ。まさに、彼の地というのにふさわしいようなところですね。
訪問されたのは、春でしょうか。菜の花のような花が咲いているのでそう思いました。
2007年3月27日
>ぴおさん
うん、まさにそんな感じですねー。
あんな感じで年を取れたら最高でしょうね。
10年ですか。じゃあ再訪しないと。
ちょうどいい季節になるしね・・・。
2007年3月25日
>経験がしわに刻まれているんだけど、決して厳つくはないんですよね。
そうそうそう!
「そりゃあね、人生いろいろあったよ。でもね、みんな過ぎたことさ」
と目を細める...みたいな感じじゃなかったですか?
あの感じがいいんですよね。
ああポルトガル、なつかしいなぁ。
間もなく10年たつし、そろそろ再訪するか...。
2007年3月25日
>ぴおさん
じいさん、いい味だしてますよね。
ポルトガルのじいさんってなんであんなに可愛いんだろう。
経験がしわに刻まれているんだけど、決して厳つくはないんですよね。
最初はものすごく異和感を覚えたけど、すぐに好きになりましたよ。
静寂の雰囲気。この落差がたまらなかったです・・・。
2007年3月25日
こんにちは。
可愛いわんこですね。
そして、それにも増して、可愛いジジイ(笑)。
ポルトガルって、小さくて可愛いおじいちゃんがたくさんいた気がします。
装いはあくまでダンディーなのですが、何故かどうしても可愛くなっちゃうんですよね。
それにしてもモロッコから”静寂の音”がするような静かな土地に行ったら、耳がおかしくなったような気がしませんでしたか。
2007年3月24日
>かやさん
ご訪問&コメントありがとうございました。
ほぼ同じ時期に同じ宿に泊まっていたのですね。
犬ともたわむれましたか。この犬はとっても人なつっこくて。きっと名物犬なのでしょう。
ぼくのときは天気があまりよくなかったので、機会があったら青空の
続く季節にゆっくりと訪ねてみたいです。
>バルチェッローナさん
ちょうど黄色い花々が丘面に咲き誇っていて、見事な景観でした。
早春のヨーロッパもまたいいものですね。
2007年3月24日
>ハナミズキさん
そうなんです。ぼくにとってもここが彼の地だったので、
門の前に立ったときは感無量でした。
何もない村なんですが、そこがいいです。下界から隔絶されたかのような、
ゆるやかな時の流れを心ゆくまで味わえます。
>HARUさん
ポルトガルには、「沈黙の音」という形容がぴったりの村がまだまだあるので、
またゆっくり訪れてみたいです。
懐かしく、哀しく、穏やかで・・・。
そんな雰囲気に浸るのが好きな人にはいい国だと思いますよ。
2007年3月24日
>ヒョウちゃん
アクセスは不便でしたが、短い日程の中で効率的に訪れることができてラッキーでした。
なにしろ、アレンテージョを訪れたのはこの村に行くためだったので。
モンサラーシュの犬はまた次回、主役で登場します。
>TMさん
そうですね。ちょうど1年前の今頃訪れたのですが、あれからはや1年・・・
また彼の地をのんびり旅したいです。
ここの郷土料理の写真も近々掲載しますね。
花は、なんでしょうか。ぜんぜん詳しくないのでわかりませんが、
黄色い花が何種類か咲き誇っていて、春の訪れを告げていました。
2007年3月24日
丘に立つ村の写真は、絶品ですね。
2007年3月24日
mixiからやってきました。
私も昨年モンサラーシュで犬とたわむれました。
本当に時間の流れがゆっくりですよね。
花はまだ咲いていなかったのですが、レモンがいっぱいで青い空ととっても似合っていました。
2007年3月23日
「沈黙の音」がする集落-。
その村まで、今すぐにでも旅をしてみたいと思いました。
4枚の写真から、ローカルで、穏やかで、懐かしい雰囲気が匂いたつようです。
こんな場所に出逢うことがあるから、旅はやめられないのですね。
2007年3月23日
ああ、モンサラッシュ。いってみたい(以前行けなかったのね)私の彼の地です。
2007年3月23日
こんにちは。こんな写真を見ると、ポルトガルを北から南まで
のんびりと旅してみたくなります。
地方色豊かなお料理とワインをいただきながら。
黄色いお花はフェンネル(ういきょう)でしょうか?
春まだ浅き3月ごろ、シチリアで黄色いフェンネルが咲き乱れて
いました。
2007年3月23日
超ローカルなのにさらに乗り換えが必要なんですね。
お疲れ様でした。
場所こそ違え、沢木耕太郎もサグレスで犬に遭遇してますね。
沢木さんの場合はかなり緊張感を伴うものでしたが。
あづま川さんは歓迎されていたようです。
続きも楽しみですよ。