ラッフルズ

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シンガポールのチャンギ空港に降り立ったのは、深夜零時を大きく回った頃だった。電車もバスもとっくに終わっている。タクシー乗り場は長蛇の列。結局、安宿のドミのベッドに滑り込んだのは2時近くになってしまった。

そんな出だしに引きずられて、翌朝の目覚めも遅かった。午後にはバスでマラッカに向かうつもりでいたから、シンガポールを歩く時間はほとんどない。一、二カ所でもざっと見ればいいか。そう考えてまず目指したのが、ラッフルズホテルだった。

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サマセット・モーム、チャーリー・チャップリンなど、そうそうたる名士がこの由緒あるホテルに宿泊した。また、放浪の詩人、金子光晴も、帰国費の工面にすら苦労しているというのに、ラッフルズのロビーでその手の女性と落ち合ったりしている。

そんな絢爛たるラッフルズも、1942年2月15日、シンガポールが日本軍に占領されたときに接収されてしまうという暗い過去を持つ。接収の前夜、ホテルで使われていた銀の食器を、日本軍に使わせないために中庭のパームコートにすべて埋めたのだとか。そのパームコートは宿泊者しか立ち入りできないので見学はかなわなかった。

ラッフルズにはバーが併設されている。このホテルから生まれた有名なカクテル、シンガポールスリングを飲みたかったのだが、マラッカ出発が迫っていたのでこれもあきらめることに。

あいにく今回はこのホテルには呼ばれていなかったようだ。が、いつかはラッフルズに泊まろう。次に訪れたときか、あるいはその次か。それがいつになるかはまったくもってわからないけれど。

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RICOH GR 21(3枚とも)

11件のコメント

  1. あづま川
    2008年3月30日

    >oink_oinkさん
    お帰りなさい。シンガポール満喫してきたようですねー。
    ラッフルズ、かっこよかったでしょ。ドアマンの制服にも伝統と格式を感じますよね。
    上の写真以外にカラーでも撮ってきたのですが、旅立つ前のoinkさんに想像を膨らませる余地を残しておくためにセピアの方をアップしたのですよ。実際に見た印象はどうでしたか? たぶんぜんぜん違ったと思いますが・・・。そのうちカラー写真もアップします。カラーの方は青空と白壁の南国イメージです。
    シンガポールスリング、うらやましいなあ。次回はぜひロングバーに立ち寄らないと。oinkさんの写真も楽しみにしていますね。

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  2. oink_oink
    2008年3月29日

    (ただいまです! くくく……! やーっとここに書き込める…)
    私もしっかり拝んできました。正面玄関! あのドアマンのおっちゃん達がまたかっこいいんですよねぇ。
    (きっと、あの制服を着る事が出来る人種は限られていて、深く考えるとかっこいいの一言ではすまない背景もありそうな気もしますが…。)
    私が一人という事に気がついたドアマンの一人は、写真を撮ってくれました。教育が良く出来てる…
    宿泊はもちろん無理なので、せめてとLONG BARでシンガポール・スリングは飲んできましたよ。ホテル内は日本人だらけでしたが、バーでは見かけなかったなぁ。
    TOPの写真、ちゃんと旗がひらめいているショットでさすがです。このカラーも見てみたいけどセピアにした事で、更に重厚さと迫力がでたのではないかしら。

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  3. あづま川
    2008年3月20日

    >yumiko-san
    元はモノクロなのですが、ちょっと小細工を弄してしまいました。
    シンガポールは初めてだったのに、ここともう1カ所しか回れず。
    それだけに、このラッフルズの白い威容が脳裏に焼き付いてます。
    >サミーさん
    セピア調、やりすぎるとあざとくなりますが、被写体によってはしっくりきます。
    この写真は、モノクロをカラーモードでスキャンしたあとに編集を加えたものですが、
    なかなかいい雰囲気になったのでアップしてみました。
    上海もセピアが似合いそうな街ですね。写真楽しみです。
    そのコース、興味深いです。格安エア・アジアあればこそですよね。庶民の味方です(笑
    ぼくもじつはペナンからエアアジアでバンコクへ、さらにあわよくばシェムリアップか
    チェンマイまで足を延ばして……なんて目論んでいたのですが、結局バンコクで時間切れに。
    でもそんな不確定要素をあえてそのままに旅立つのも楽しさなのだと改めて実感しましたよ。
    サミーさんの旅、実現するといいですね。

    返信
  4. あづま川
    2008年3月20日

    >Ginaさん
    ラッフルズの宿泊記は以前読んだような気がします。
    今回は外観を眺めただけですが、内部の装飾や雰囲気、もてなしなども
    一度は味わってみたいものです。
    ぼくも還暦祝いの訪問を目指します(笑
    >ヒョウちゃん
    ぼくは最後がバンコクだったので飲むチャンスを逃してしまいました。
    あと1、2日あればシンガポールにもう1泊したんですけどね。
    まあそんなことを思うのは毎度のことですが。
    お互い、いつか泊まれる日が来るといいですね。

    返信
  5. あづま川
    2008年3月20日

    >ogawaさん
    余人はともかく、ぼくには気軽にぶらりと訪れて泊まれるホテルではないので、
    それなりの体裁が必要、なんて妙に身構えてしまいます。そんな気持ちが消えたときが
    すなわち呼ばれたときなのかな、と。次回は少なくともシンガポールスリングは飲んでみたいです。
    >タカモト氏
    ありがとうございます。
    ちょっとしたマジックです。マジックというか、スキャン時の細工なんですけど。
    こういう由緒ある建物にはセピアぽい色調が似合うかなあと思いまして。

    返信
  6. サミー
    2008年3月19日

    セピア色のラッフルズ・ホテル、味があるというか、いいですね~。
    僕も次回更新予定として今、昨年行った上海の写真を(今になってやっと…笑)整理しているのですが、元々モノクロ・イメージで撮ったものをセピアで調色を加えたら妙にハマった感じになりまして、ならば、これでいこうかと思った矢先のこのラッフルズでした。
    自分も来月ですが、UAのマイレージを使ってバンコクinのシンガポールoutでカンボジア再訪を計画中です。
    ただ、この計画。
    明後日に仕事の人事異動の内示を控えているので定かではなく、エア・チケットも先週末の段階で空いていたものをあえて押さえずに待っている段階ですが、移動に引っかからずにいられれば、そして今週末の段階でチケットが確保できれば、旅の最後はシェムリアップからクアラルンプールまで格安のエア・アジアで飛び、そこからの2日間はマレー鉄道でシンガポールまでという計画なのですが、はたして…?

    返信
  7. yumiko-san
    2008年3月19日

    いやー写真かっこいい!
    ショートステイの場合、こういう時間の過ごし方もいいですね。

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  8. ヒョウちゃん
    2008年3月18日

    行きましたよ。ラッフルズ。
    自分の場合は、シンガポールに戻ってからです。
    ロング・バーで値段を気にしながら、シンガポール・スリング飲みました。
    空港の免税店でシンガポール・スリング調のチョコレートがあるんですけどね。土産に買いました。
    泊まってみたいですよね。果たしてその日は来るものだろうか。

    返信
  9. Gina
    2008年3月18日

    セピア色の写真ってどこかぼんやりにじんだような
    ロマンチックなのが多いですけど、
    こういうぱっきりしたのも、いいですねぇ。
    ラッフルズ、私は以前格安で泊まりましたが、またぜひゆっくり泊まりたいと思わさせてくれるところでしたよ。
    でもまぁ、再訪は、宝くじでも当たらない限り、還暦祝いとかになっちゃいそうですけど。

    返信
  10. タカモト
    2008年3月18日

    をースゲーなぁ、写真。
    セピア色にも見えるが違う風にも見える。
    いやぁ、マジでいいっすよ。

    返信
  11. ogawa
    2008年3月18日

    大丈夫、次は大丈夫。
    不思議なもので、この手のホテルって呼ばれている呼ばれていない
    というのがわかりますよね。
    次回はLONG BARでシンガポール・スリングを一杯!

    返信

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