マラッカで初めて迎えた朝。
狭い階段を下りて、宿を出た。
すでに太陽がジリジリと照りつけている。が、大気にはまだ朝のすがすがしさとけだるさが漂っている。
通りの向かいに食堂が何軒が並んでいて、地元のおじちゃんたちが麺を美味しそうにすすっている。
その姿に誘われるように、一軒の食堂のテーブルに。
頼んだのは、醸豆腐麺(YONG TOW FOO MEE)。
味は、名前から想像したまんま。おいしい。
朝食に麺を食べると、アジアに来たのだなあと思う。
これ以後、朝食には麺と、これもマレーシアならではのロティ(インド風パン)ばかり食べることになる。
結局、昨日は夕日を見ることはできなかった。マラッカ市街に到着したときにはすでに日没間際だったうえ、暗い雲が今にも上空を包み込もうとしていたからだ。飛び込んだ宿はどこも満室。地元の男の案内でようやく一軒の安宿で旅装を解くことができた。その直後、バケツをひっくり返したような勢いで雨が降り出した。1月といえば乾期のまっただ中なのに、こんなスコールに見舞われるなんて、幸運なのか、不運なのか。
雨が止んだ夜の8時過ぎ。近くの食堂でナシゴレンを食べると、旧市街=チャイナタウンまで歩いてみた。さぞかしにぎわっているのだろうと思いきや、なぜか店はあらかた閉まっていて、ゴーストタウン状態。赤い提灯に照らされて、古い木造の家々だけが闇からおぼろげに浮かび上がっていた。幻想的でもあり、艶っぽくもあった。不思議なことに、家の構造や灯りの色は違えど、イエメンのサナアで見た結婚式のライトアップが脳裏の中でだぶって映った。こんなところで、イエメンの旅とのつながりをまたひとつ発見することになるとは。少しうれしくなった。
朝食をすませると、ぶらぶら歩くことにした。
まずは、サンチャゴ砦、そしてセントポール教会が立つ丘へと向かう。
空の青さに、目を奪われながら。
2008年8月25日
>さとこさん
こんばんは。
初めての一人旅がマレーだったのですね。
ドキドキとワクワクが入り交じり・・・この写真を見て
当時の旅の模様が蘇ってきたならうれしいです。
ぼくもマレーは初めてだったのですが、この教会と
対峙したときは感慨無量でしたよ。
これからもよろしくお願いしますね。
2008年8月25日
初めての一人旅はマレーシアでした。
マラッカへバスで移動して、しばらくいたのを思い出しました。
ドキドキの一人旅。
この赤い教会の前で何度も過ごしたなぁ~。
2008年8月13日
>ogawaさん
マレーシア(とシンガポール)は初めてでした。
マラッカ、バトゥ・パハ、ペナンとogawaさんが訪れことのある町にも行きましたが、
そこでの撮り方は大きく違うだろうし、その視点の違いが写真に出るのが面白いところですね。
ogawaさんも旅ですか。気をつけて、素敵な写真撮ってきてください。
2008年8月13日
>眞紀さん
バカンスはいかがでしょうか?
高校生のときですか。昔から早熟だったのですね(表現がヘンだけど)。
マレーは第5候補くらいだったんだけど、過剰な期待がなかったぶんだけ
なんかこう、普段着のままで旅ができたような気がします。居心地のいい
アジアだからということもあったし。キューバやメキシコではこうは行かなかったでしょう。
眞紀さんももうすぐナシゴレン食べにいくんだっけ。オミヤゲ頼んだよ。
2008年8月13日
>vinvivaさん
朝早くからありがとうございました。
vinvivaさんなりの情景が目の前に再現されたとしたらうれしいです。
ある意味、自分の旅を他者に共有してもらえたのですから。
やはりそれが、写真にはない文章の力なのでしょうね。
2008年8月13日
あづま川さんがマレー半島が初めてだとは驚きました。
あいかわらず冴えた写真がいいですね。
あづま川さんと同じ土地がかぶさっていることが多いので、そこでの写真お撮り方の違いが面白いです。
同じ場所にたって違うものを見ているのですね。
さてさて次が楽しみです。
2008年8月13日
ネットバカンス中ですが……マレー旅行記いいですねえ。
あづま川さんは文章がきっちり書かれているのでとても好きです。
マレー半島は何度か行ったことあります。
前回分の、「旅の候補地」の話は興味深く読みました。
最近の私の心境は、「どこへ行ってもすっごーくおもしろい!」です。
自分の中での、旅へ向かう気分の盛り上げ方を心得てきたということかもしれません。
マラッカには高校生のときに行きました。
まだ、ランボーも金子光晴も読んだことがなかった時代。
なんか、もったいない。
これからいろんな出会いが出てくるんでしょうねえ。たのしみよ。
2008年8月13日
>>お早うございます。
旅の小説を読んでいる気分になりますね。
行った事のない街なのに、脳は、記憶している様々な光景を勝手に写しだし、また、光景と光景を補完しながら情景を再現しています。
不思議なものですね。