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黄金のカラウェイ船

Inle Lake, Myanmar / Fujifilm X-T1 + XF55-200mm

インレー湖地域に滞在中は、二つの大きいお祭りと出会い、熱気と活気を肌で感じることができた。

そのひとつは、雨安居明け(出安居)を祝うお祭りであるダディンジュ(過去記事)。もうひとつは、インレー湖が属するシャン州最大級のお祭りといわれるファウンドーウーパゴダ祭りだった。

ファウンドーウーパゴダは、インレー湖の水上に立つ由緒あるパゴダ。ファウンドーウーパゴダ祭りでは、普段このパゴダに祭られている本尊を載せた、伝説上の鳥カラウェイを模した黄金の船が、およそ二週間かけてインレー湖畔に散在するインダー族の村々を巡る。村々の人にとっては、本尊を間近に見て祈りを捧げる貴重な機会となる。また、黄金のカラウェイ船は、何十隻もの足漕ぎ船に曳航されて村から村へと湖上を移動する。漕ぎ手はそれぞれの村の若者が中心となっていて、彼らにとってこのお祭りは自分の晴れ姿を披露する場でもある。

これとは別に、お祭り期間中にはそれぞれの村の誇りをかけた村別対抗の足漕ぎボートレースが二度開催される。インレー湖を進むカラウェイ船の一行、そしてこのボートレースを見ることが、今回インレーを訪れた最大の目的だった。

カラウェイ船の一行が湖を移動するのは早朝。その船団を見るために、朝5時に起き、湖畔のボート乗り場へ向かう。ここから貸し切りのモーターボートに乗ってカラウェイ船が通過するポイントへと移動し、カラウェイ船が来るのを待つ。ボートはあらかじめ宿で予約してある。

乗り場を出発したときには真っ暗だった空が東から徐々に明るくなり、やがて湖を囲む山々が稜線を見せ始める。水と風を切ってひたすら走る。湖の真ん中に達するころにはすっかり夜が明けていた。日が昇ると、湖がきらきらと輝き始め、肌寒さも霧散する。

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やがて目的のポイントに到達。湖の中心から外れた、狭い水路のようなところだ。カラウェイ船の航路は日によって違う。もちろん、ボートの船頭さんは今日どこを通るか、どこで待っていれば船を拝めるかを熟知している。ぼくが乗っているボートの前後にも次々とボートが停まる。カメラを手にした外国人の観光客もいれば、地元のミャンマー人もたくさんいる。

しばらく待っていると、船団が一列でやってきた。まずは立ち漕ぎ船から。スピーカーから音楽を流しながら、次から次へと目の前を通り過ぎていく光景は、まさにパレード。船によって漕ぎ手の真剣度が違っているのもなんだか面白い。息の合った足漕ぎで勢いよく進んでいる船もあれば、手で漕いでいる船もあるし、やる気なさげに惰力に任せている船もあったり。もっとまじめに漕げよーっと思うけど、まあそれはご愛敬。

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そして真打ち登場。本尊を載せたカラウェイ船が、足漕ぎ船団に先導されてやってきた。周りのミャンマーの人たちがいっせいに手を合わせて拝みだす。その真剣な姿は美しく、印象に残った。

じつはこのカラウェイ船の荘厳な姿が気に入ってしまい、別の日にもボートをチャーターして見に行った。その日は青空にも恵まれ、黄金船もひときわまばゆい輝きを放っていた。

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ちなみに、カラウェイ船に載せられているのは五体ある本尊のうちの四体で、残りの一体はファウンドーウーパゴダで留守番をしている。この一体だけはパゴダの外には出せないそうだ。それには理由があるのだけど、長くなるのでここでは割愛。後日、ファウンドーウーパゴダを訪れた際、留守番している一体を間近で拝んだ。思っていたより小さい姿。幾重もの金箔が参拝者によって貼り付けられてきたため、元の姿がどんなだか想像もつかない。黄金のだるまさんのような姿に、ミャンマー人の信仰心の篤さを見た気がした。

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インレー湖を進むカラウェイ船を見た数日後、有名な村別対抗の足漕ぎボートレースがファウンドーウーパゴダの前で盛大に開催された。その模様はまた今度。

カローからローカル列車で

カロー滞在中、ローカル列車の旅気分をちょっぴり味わった。1日に何本あるのかわからないけど、そのうちの1本に乗り込むことができた。

列車は物資の貴重な輸送手段でもあるのだろう、荷物の積み出しと積み込みの手間を見込んで、停車時間は長くとっている。ぼくたちが宿から駅に着いたときには列車はすでに到着していて、あわててキップを買い求めて乗車したのだが、それから15分くらいはそのまま停まっていた。

車内の通路は山のような荷物で足の踏み場もないほど。ぼくの向かいの座席と通路を挟んだ座席に座っている女性陣は、何かを食べていたかと思うと、笑いながらおしゃべりをはじめる。何を話しているか見当もつかないけれど、げらげら笑っている地元の乗客を見てるだけでこちらも楽しくなる。
 

 
やがて列車は前触れもなく発車。文字通りガタンゴトンと音を立てながら、ゆっくりゆっくり進む。
のどかな車窓を思う存分満喫できる。

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飛行機やバスもいいけど、ローカル色あふれる列車での移動はまた格別だ。
30分ほどで、Myin Daikという小さな駅に到着。もう少し楽しんでいたいけれど、ここで降りる。
 

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人と荷物を降ろし、列車が去ってしまうと、急に周囲は静まりかえる。そこには何もない田舎駅がたたずんでいるだけ。

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Fujifilm X-T1 + XF18-55mm
 
ここからはトレッキング。同行してくれたガイドといっしょに山に登り、尾根伝いに小さな村をたずねつつ、カローへと戻る。

その模様はまたそのうち。

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