Leh, Ladakh / RICOH GR1v, Fuji Velvia100F
商店や食堂がすき間なく立ち並ぶ狭くて薄暗い路地を通り抜けると、そこはオールドレーと呼ばれる旧市街だった。視界が次第に開け、狭い路地からでは一部しかかいま見ることのできなかった王宮がやがて全容を現した。
これまで見たことのないその威容。背後に広がる蒼穹。目の前に広がる光景に五感を奪われながらも、自分の体内でなにやら異変が生じていることを自覚しはじめていた。来るべきものが来てしまったようだ。認めたくはなかったが、急速に顕在化してきた変調は、高山病の発症を明らかに示していた。あの王宮まで登ってやろうという欲すらもうぜんぜん湧いてこない。腹痛、さらに頭痛。あわてて宿へと引き返す。ぜーぜー息切れがするので早く歩けないのがもどかしい。ひどい寒気と眠気も襲ってくる。なんとか宿に戻り、部屋に入ると、そのままベッドに倒れ込んだ。
雨期のデリー(1)
蒼穹のラダックから下界へ。
厚い雲を突き抜けて降り立ったデリーは、雨期の中にあった。
湿りを帯びた空気が身にまとわりつく。
アジアに戻ってきたんだ。そんな感じ。
1-3枚目
RICOH GR1V, FUJI NEOPAN 400 PRESTO
4枚目
PENTAX K-7, FA24-90mm