旅カメラのことなど:X-T3とX-T30

トルコ、ブルサ / FUJIFILM X-T1 + XF35mm

前回の投稿からしばらく経ってしまったが、その間に、自分自身の環境も、自分を取り巻く社会、さらには世界の状況までもが大きく変わってしまった。ようやく収束に向かおうとしていたコロナも第二波が押し寄せてきそうな予兆が色濃く漂ってきて、先行きの不透明感はいっこうに消える気配がない。

個人的な話をすると、過去記事「サイトとブログをリニューアル」で少し触れたように、昨年の秋に引っ越しをした。中央線沿線から郊外の某私鉄沿線に移った。引っ越し先は古い一軒家ということで、荷物の整理やら家の手入れやらにしばらく振り回されていた。寒い冬をやり過ごし、ようやく暖かい春がやって来ると思ったら、コロナ禍まで来襲してしまった。しがないフリーランスではあるが、幸いなことに生業にはさほど影響はなく、またずっと在宅ワークを続けてきたので、引きこもり生活には慣れている。世間がステイホームモードに入っても仕事と生活のスタイルはコロナ以前からほとんど変わっていない。そうはいっても、気晴らしにあちこち自由に出かけることもままならないとなると、さすがに精神的にきついものがある。ここ数年、諸事情により海外の旅はまったくしていなかったのだが、ようやく心置きなく旅立てそうな環境になった矢先のパンデミックだったから、なおさらがっかりである。次の旅のためにと、せっかくカメラも買い替えたのに! ということで、海外デビューを待っている不憫なカメラのためにせめてここで披露したい。

昨年までメインで使っていたカメラは、FUJIFILMのX-T1とX-T2だった。APS-Cサイズのミレーラス一眼である。2台とも下取りに出してしまったので、今はもう手元にない。代わりにまず昨秋に購入したのが、同じFUJIFILMのX-T30。防塵防滴ではないものの小さくて可愛い。気軽に持ち出しやすいので、主にお散歩カメラとして使っている。あとは4K動画も撮ったり。

続いて今年に入って買ったのが、同社の上位モデル、X-T3と16-80mmズームのセット。手ぶれ補正機能が搭載された最新モデルのX-T4がすぐに発売されることは知っていたのだけど、発売直後はお高くて手が出ないし、またサイズと重さが増してしまい、液晶もチルトからバリアングルに変わったことにやや不満だったこともあり、一世代前のX-T3を購入した。ほとんど外に持ち出せないでいるのだけど、評価と人気の高いモデルだけあって十分に満足している。

FUJIFILM Xシリーズのミラーレスを使い始めてから6年ほどになる。重くてかさばるボディーとレンズを携えて海外を旅するのはもうイヤだ(一眼レフは論外)、さりとてスマホやコンデジだけでは物足りない。あるときからそんな気持ちになり、まずはソニーのNEXやキヤノンのEOS Mなどをサブカメラとして使ってきたが、最終的にFUJIFILMのXシリーズにたどりつき、メインカメラとなった。なぜFUJIFILM Xのカメラなのかというと、自分が思い描く旅カメラ像、つまり、小型・軽量で、目立たず、それでいてカスタマイズや操作の楽しみを提供してくれ、望みの色で旅のシーンを切り取ってくれるカメラ。ゲストハウスの一室に無造作に置いて様になるカメラ。そんなイメージに最も近い立ち位置にあるからだ。ぼくのようなフィルムカメラ世代に強く訴求するダイヤル中心の操作系やフィルムシミュレーションの絶妙さなども理由として挙げられる。むろん、ボケや高感度耐性や絶対的な画質ではフルサイズのミラーレスの方が有利ではあるけれど、自分にとっての理想の旅カメラ像からはまだまだ遠いところにある。もっと小型軽量化してくれないと。ちょうど本日、ニコンからフルサイズミラーレスのZ5が発表された。携行性の高さを謳ってはいるが、既存の機種から小型化されたわけでもなく、それどころかサイズも重さもほぼ変わらず、スペックだけしっかり下げましたというやる気のなさに正直がっかりさせられた(少しだけ期待していたから)。もっとも、Xシリーズも最新モデルのX-T4は初代のX-T1に比べるとサイズも重さもぐっと増していて、フルサイズのミラーレス、たとえばZ5より一回り小さいくらいにまで大型化されている。そこは気になる点だ。大型化の傾向が今後も続くようなら他メーカーへの乗り換えを検討する可能性もあるけれど、今のところ自分の旅カメラの条件をいくつかでも満たすカメラは他にないというのが正直なところ。市場の縮小に伴って高級路線へとシフトしつつあるカメラ業界を見ていると、さみしいことだが、そうしたニーズに応えるカメラの登場に期待しすぎてはいけないのかもしれない。

いつ実現するかはわからないけれど、次の旅にはこのX-T30とX-T3の2台を携えていく予定だ。長距離の移動を伴うような旅はあまりしたくないので、おそらく東南アジアのどこかをゆらゆらすることになるのだろう。ともあれ、しばらくはカメラを携えて路地を気ままに歩く自分の姿を妄想して楽しむしかない。

妄想を楽しむといえば、これまで撮りためてきた旅の写真は格好の材料だ。いい機会ではあるので、ポジフィルムで撮った旅写真を高品質でデジタル化する作業を進めようと思っている。スキャンした写真はこのブログで公開してきたのだけど、それらはほんの一部に過ぎないし、画質もあまりよくない。防湿ケースの中で眠っているフィルムからコマを選定し、A3プリントに耐えうる画質でデジタル化したい。市販のフィルムスキャナにはあまり良いものがなさそうなので、ニコンのフィルムデジタイズアダプター「ES-2」でデジタイズするつもりだ。ヨドバシカメラのページを見て、これは使えると踏んだので。ちなみにこのリンク先ページではニコンの一眼レフに取り付けているけれど、工夫すればX-T3をはじめとするするニコン以外のミラーレスカメラとレンズに取り付けて使うことも可能だ。

フィルムをデジタル化したら、編集、プリントして壁に飾って妄想に浸りたい。デジタルカメラで撮った旅写真もたまには大きくプリントしてみよう。プリントにはFUJIFILMのWALL DECORがよさそうだなと思っている。幸い、丸々空いている部屋があるので飾るスペースに悩むこともない。

新しい旅カメラ

久しぶりの更新。気がつけば前回の投稿からまるまる半年も。昨秋から仕事(IT/Web系の翻訳)に関してよい変化が訪れ、その波に乗るべく仕事に集中していたせいなのだけど、ようやく一息つけるようになった。

一息ついたところで気が緩んだのか、インフルよりたちの悪い「カメラ買いたい病」が発症してしまい、新しい旅カメラを購入した。

もともと、過去記事「Night in Hoi An (2)」にも書いたように、重くてかさばる一眼レフから、より軽量なカメラに移行したいと考えていた。以来、小型かつ写りが犠牲にならない旅カメラを探し求めていたところ、自分にとって現時点でベストと思える一台がようやく見つかり、買いたい病の発症とあいなった次第。その結果手元に来たのが、FUJIFILMのX-T1

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X-T1を選んだ理由は、ぼくのような世代には親しみのあるダイヤル主体の操作系と、デジタルカメラとしては世界最大のファインダー倍率を実現した大きく見やすいEVF。液晶もチルト式で便利だし、防塵防滴仕様というのもアジア旅にはもってこい。さらには、FUJIFILMならではの定評ある絵作りや、高性能なレンズ群にも惹かれた。

使い始めたばかりで、まだ近所しか撮り歩いていないのだけど(下の写真)、満足度はかなり高い。これから撮り歩きが楽しみな季節になっていくので、少しずつ慣らしていきたい。あとは、レンズの充実。Xシリーズ用のレンズはX-T1に付属のズームしか今のところ持っていないので、これから単焦点を少しずつ揃えていく予定。まずは定番の35mmを買うつもり、購入資金を確保するため手持ちのレンズはほとんど売っちゃうのでお金はそんなにかからない・・・はず。

次の旅には、このX-T1をメインに据え、昨年から使っているSONYのNEX-6をサブとして携えていくつもり。ミラーレスカメラのコンビで、これまでとは少し違った角度と視点で旅の出会いを撮っていけたらいいなと思っている。

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